整形外科分野における喫煙のリスクについて
「タバコが身体に良くない」という事は皆さんもご存知の事かと思います。
世の中ではタバコによる健康被害が問題となっており、禁煙区域が広がっています。
日本で亡くなる人の原因で最も多いものは「ガン」と言われており、喫煙が大きく関与しています。
また意外なことにタバコは整形外科分野においても身体に良くない影響を与えます。
今回は整形外科分野における喫煙のリスクについてお話しさせていただきます。
本日の担当は理学療法士の大曽根です。
整形外科領域における喫煙による悪影響として
①傷の治りが悪くなる
②骨粗鬆症(骨が脆くなる)になりやすくなる
③腰痛になりやすくなる
④骨折が治りにくくなる
があげられます。
①傷の治りが悪くなる
傷の治癒においては、患部への血流量を増加させる事で傷の治りが早くなります。
タバコに含まれるニコチンによって血管が狭まり、患部に血液が行き渡らなくなることで傷の治りが悪くなってしまいます。
②骨粗鬆症(骨が脆くなる)になりやすくなる
喫煙は骨粗鬆症の危険因子として考えられています。
骨は古くなった骨を壊し、新しい骨を作る事で骨の状態を維持しています。
タバコの煙は骨を作る細胞の働きを悪くするため新しい骨を作りにくくなります。
当院の10月のブログにて骨粗鬆症について説明しています。そちらも興味のある方はご覧ください。
③腰痛になりやすくなる
タバコと腰痛の関連については、多くの調査によりタバコは腰痛の危険因子になると報告されています。喫煙が腰痛に繋がる根拠となるメカニズムについては十分解明されていません。しかし、1996年の調査では仕事中に腰痛症を発症した人で、非喫煙者は5人に1人に過ぎなかったが喫煙者では2人に1人と報告されています。
この事から腰痛になるメカニズムは不明ですが、喫煙は腰痛になりやすくなると考えられます。
④骨折が治りにくくなる
傷の治りと同様に骨折が治るには血流量を増加させることが重要です。
しかし、喫煙は血流を悪くしてしまいます。
喫煙者と非喫煙者を比較すると骨の修復までに約2倍の差があり、骨がつかなくなる確率も3〜4倍とも言われています。喫煙は骨の修復を遅らせるだけでなく、「痛みに敏感になる」、「手術後の感染のリスクが高くなる」との報告もされており、
骨折後や手術前には完全に禁煙を義務づけている病院もあります。
来院されている方の中でも喫煙が症状の原因の一つではないかと思われる方がたくさんいらっしゃいます。「タバコは百害あって一利なし」という言葉があるように多くの健康被害を及ぼす為、健康的な生活の為に禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。