骨粗鬆症について

突然ですが、10月20日は世界骨粗鬆症デーということをご存知でしょうか。

骨の健康を守るため、国際骨粗鬆症財団と世界保健機関によって1998年に制定されました。

本日の担当は理学療法士の山口です。よろしくお願い致します。

・骨粗鬆症とは?

世界では毎年890万人、約3秒に1回、大腿骨骨折が発生しています。

骨粗鬆症とは、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨密度は20歳前後でピークを迎え、40歳以降は徐々に減っていきます。日本には推定1200万人以上の骨粗鬆症患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。

・症状は?

骨粗鬆症になると骨が弱くなるので、何かにぶつかったり、転んだりした拍子に簡単に骨折しやすくなります。骨折は腰痛や寝たきりの原因となり、生活の質(QOL)の低下に繋がります。

骨折が生じやすい部位は、背骨(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。

・原因は?

骨の量が減少する最も大きな原因は加齢ですが、生活習慣や閉経の影響を受ける複合的な疾患であることがわかっています。

生活習慣とは、運動不足や喫煙、多量の飲酒、カルシウム不足等が該当します。

・予防法、治療法は?

骨粗鬆症の予防には栄養と運動、治療には加えて薬物療法が大切です。

栄養面では、骨の形成に役立つカルシウムやビタミンD、ビタミンKを多く含んだ食品を取り入れましょう。

また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは日光浴で紫外線を浴びることで体内でも作られます。長時間の直射日光を浴びることは肌への負担になりますが、適度な日光浴(夏なら木陰で30分程度、冬なら1時間程度)は骨の健康に役立ちます。

カルシウムを多く含む食品)乳製品、魚類など

牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、豆腐、納豆

ビタミンDを多く含む食品)魚類、きのこなど

さけ、いわし、さんま、カレイ、しいたけ、きくらげ

ビタミンKを多く含む食品)野菜類など

ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤ、納豆

運動面では、骨に衝撃を与えることがポイントです。骨には、運動などの負荷をかけると強くなり、逆に負荷をかけないと弱くなる性質があります。その為、ウォーキングや筋力トレーニングなど、骨に衝撃が加わる運動が推奨されています。

<運動例>

1.机や椅子に掴まり背筋を伸ばし足を肩幅に開く

2.両足の踵を持ち上げる(ふらつかない高さまで)

3.両足の踵を床にすとんと落とす

2、3を30回繰り返す

1日に3セット目指しましょう!

日頃から運動をして体力や筋力を付けることで、転倒予防にも繋がります。

治療法は薬物療法が中心になります。薬は大まかに3種類に分けられます。

①骨を壊す働きを抑える薬

②骨を作る働きを高める薬

③骨の作り替えのバランスを整える薬

多くの薬の中から患者さんの状態に合わせて総合的に判断して使用します。

・検査法は?

骨粗鬆症の調べ方は、骨粗鬆症性骨折の起こりやすい部位の骨密度を骨密度測定装置(DEXA法)で調べるのが最適です。

当院には骨密度測定装置を導入しており、安全・迅速・精度が高い検査が可能となっています。

骨粗鬆症は早期発見、早期治療が重要です。

まずは日頃の生活習慣を見つめ直して、強い骨を育んでいきましょう。