『ジムでトレーニングしたら痛くなりました』―トレーニングの原則とは

 「ジムでトレーニングをしたら痛くなりました。」これは初診でいらした患者さんから多く聞かれる内容の一つです。健康のために運動をすることはとても良いことですが、トレーニングをして関節を痛めてしまっては、かえって生活の質(QOL)は低下してしまいます。運動して痛くなる要因は何なのか、トレーニングの原則に当てはめて考えてみましょう。本日の担当は理学療法士の磯辺です。よろしくお願い致します。

トレーニングの原則とは、
1 漸進性の原則
2 全面性の原則
3 意識性の原則
4 個別性の原則
5 反復性の原則    

の5つが効果を出すうえで守るべき法則になります。
これらの原則を簡潔に説明すると・・・
1. 漸進性の原則は、徐々にトレーニングの負荷量を上げていきましょう(錘の重さを徐々に上げる、運動を行う回数を徐々に上げるなど)。
2 .全面性の原則は、気になる部分だけではなく全体的にトレーニングを行うことで効果が高まります(好きな運動ばかり偏ってやらないように)。
3 .意識性の原則は、トレーニング中どこの筋肉を鍛えているのか、どんな効果があるかなど意識するとより効果が出やすくなりますよというもの。
4 .個別性の原則は、その人の状態に合わせてトレーニングを行うことが重要というもの。
5 反復性の原則は、トレーニングを数回やっただけでは、効果は出にくく反復して継続していくことが大切というもの。

これらの原則が守られないでトレーニングを行ってしまう方が、関節の痛みを引き起こすこと多いと感じています。例えば、筋肉には大きく分けてインナーマッスル(関節を安定させる作用)とアウターマッスル(関節を動かす作用)が存在するのですが、インナーマッスルが弱い状態でジムなどに行き、アウターマッスルを鍛えるマシントレーニングを盛んに行ってしまうと、関節内で炎症が起きてしまい、痛みを発症してしまう事が考えられます。
トレーニングをする際には、自分の身体の状態を過大評価せず、インナーとアウターマッスルの筋バランスを考えながら運動を行っていくことが重要だと思います。

運動を行っていくことは健康に生活していくためにはとても大切です。これらの原則を頭の片隅に置いて、関節痛を予防しつつトレーニングを行っていきましょう。