『当院における前十字靭帯再建術前後のリハビリテーションについて②』

前回のblogでは、『当院における前十字靭帯再建術前後のリハビリテーション①』にて、手術前のリハビリテーションについてお話しました。今回のblogでは、手術後のリハビリテーションのジョギング開始までの内容についてお話します。

本日の執筆担当は、前回に引き続き、理学療法士の藤井です。

手術後、スポーツ復帰には6ヶ月から12ヶ月程度かかり、手術の方法(術式)や合併症の有無(半月板損傷や他の靭帯損失など)により復帰時期が変わります。

【術後早期:術後管理】

術後早期は、手術による炎症による膝関節の炎症の管理や術後合併症に注意しながら、手術部の保護を行いながら、膝の曲げ伸ばしの可動域の改善と、健康な時と同じ様に歩けるように歩行能力の改善を目標に、関節可動域制限や筋機能低下の改善を図ります。

【術後早期からジョギング開始まで:〜約3ヶ月】

この時期は、患部の炎症を管理しながら、ジョギングを始めるために、積極的な関節可動域訓練や筋力トレーニングを行っていきます。特に太ももの筋肉である、大腿四頭筋とハムストリングスは手術後に著しく筋力が落ちるため、これらの筋機能の改善は必須となります。動作獲得では、膝関節に加わるストレスを減らすための動作獲得を目指します。先にも述べましたが、膝関節が内側に入る、『knee in』を如何に防止しながら、トレーニングを行うかがとても重要となります。『knee in』が起こる原因は多岐に渡り、膝関節だけでなく、体幹や股関節、足関節の機能も関わってきます。当院では、担当の理学療法士が、患者さん一人一人の状態に合わせてリハビリテーションプログラムを立案し、実施していきます。

ジョギングは、手術を受けた病院の医師から許可を得られ、膝関節の可動域獲得、太ももを中心とした筋力獲得やスクワットなどの基本動作の獲得などの明確な基準に達すれば、開始としています。

ここからはランニングやダッシュなど、徐々にスピードの負荷を上げながらスポーツの復帰を目指していきます。

続きは、『当院における前十字靭帯再建術前後のリハビリテーションについて③』でお話しします。