『当院における前十字靭帯再建術前後のリハビリテーションについて③』

前回のblogでは、『当院における前十字靭帯再建術前後のリハビリテーション②』にて、ジョギング開始までの治療についてお話しました。今回のblogでは、スポーツ復帰までのリハビリテーションについてお話します。

本日の執筆担当は、前回に引き続き、理学療法士の藤井が行います。 ここでは、スポーツ復帰までのリハビリテーションの内容と、全体を通して当院で行なっている、Task Based Progressionについてお話しします。

【ジョギング開始からスポーツ復帰まで:〜9ヶ月】

ジョギングが可能になったら、その後はスポーツに復帰するために、基礎動作から応用動作まで幅広いメニューを行っていきます。

具体的には、両足スクワットや片足スクワット、ジャンプスクワットなどをベースに、カッティング動作やターン動作、ステップ動作など膝関節に加わる負荷を徐々に上げていきます。 さらに並行して、各スポーツで行う練習にも、action(相手がいない練習)からreaction(相手がいる練習)と段階的に参加していきます。

【Task Based Progressionについて】

ここまで、術後のリハビリテーションのそれぞれの時期について大まかに説明をしましたが、当院ではこれに加え、『Task Based Progression』を取り入れ実施しています。

このTask Based Progressionとは、過去行われてきた、手術からある程度の時期がたったから始める、時期基準型リハビリテーションとは違い、一つの課題が遂行できたら、次の課題の遂行に向けて必要な機能を獲得して、さらに次の課題に進んでいくリハビリテーションのことを言います。

例えば、正常歩行を獲得したら、次に両足のスクワットを獲得するために、患者さんの全身の状態を評価し、必要なメニューを決め、実施していきます。これにより、患者さんの状態に合わせて必要なメニューを決めることで、スポーツ復帰までの時期を安全に短縮することができます。この中でも、正常歩行や走行、スポーツ動作についてはそれぞれ遂行達成の基準(Criterion)を設けることで、無理な運動をすることなく、競技復帰に向けてリハビリテーションを遂行できます。これは、海外や邦国でも取り入れられているリハビリテーションの進行方法となります。

前十字靭帯損傷の術後リハビリテーションは、上記に示した様に治療時期が長期に渡るため、患者さんはスポーツに復帰できるか将来に不安を感じることも少なくありません。Task Based Progressionは、次の目標を設定することで、患者さん自身が目標に向けて、リハビリテーションを進める意欲も高める効果があると考えています。 前十字靭帯損傷の手術を受けたが、リハビリをする場所を探しているという方や当院でのリハビリに興味があるという方は、是非一度当院へ足をお運びください。