サプリメントと薬について

多くの患者さんから「関節が痛いからサプリメントを飲んでいます」、「サプリメントって実際効果があるのですか?」とよく聞かれます。こういった相談を受けた時、医療従事者である私の返答はこうです。「目的によります。疾病を治療したり予防したりする効果を期待するのであればサプリメントではなく、薬の方が良いと思います」と。決してサプリメントを批判しているわけではないのですが、昨今サプリメントが話題になることが多いので、この話題に乗っかる事とします。本日の執筆担当は理学療法士の磯辺です。よろしくお願い致します!

そもそもサプリメントと薬の違いとは何でしょうか?それぞれの定義を調べてみると…

サプリメント:ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を濃縮し錠剤やカプセル状にしたもの。広い意味で考えると健康食品の一つと考える事ができる。

医薬品:人または動物の病気(疾病)の診断、治療または予防に使用されることが目的とされるもの。人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされているもの。

つまり、病院やクリニックに来院される患者さんから相談を受けた場合の、私たちの見解としては「医師から処方された薬を用法・容量を守って正しく服薬してください」という返答になります。

 良い機会なので医薬品ができるまでの過程も理解してみましょう。

  • 薬になる可能性のある成分を探す為に研究を繰り返す(2~3年)

  • 動物や細胞などを使った生物学的試験や、物理化学的な試験などを行って、候補物質を絞り込む(3~5年)

  • 人における安全性と病気に対する有効性を確認するために治験を慎重に行う(3~7年)

  • 専門機関による有効性や安全性などの審査(1~2年)

  • 製造・販売へ(計9~17年かかる)

このように医薬品は長い年月をかけて研究され、有効性や安全性が実証されたものが世に出回っています。これらの過程も理解しておくと、「医薬品は安心して服薬できる」と再認識できるのではないでしょうか。

サプリメントはこのような過程を踏まない為、医薬品と比較するとリスクがある事も理解しておく必要があります。容易に手に取りやすく、自由度も高いため、摂取し過ぎ・飲み合わせの問題などによる健康被害も出ているのが現状です。

メリットだけにとらわれずにデメリットも許容しながら、取捨選択をしていくと良いと思います。