『膝の軟骨はすり減るって本当?』
今回のblogでは変形性膝関節症についてお話を致します。
膝の痛みで悩まれている方もたくさんいらっしゃるかと思います。では実際に、皆さんは変形性膝関節症についてどこまでご存知でしょうか。本日の執筆担当は理学療法士の藤井です。
膝が痛くて、病院を受診したらお医者さんに、「まずはレントゲンを撮りましょう」と言われて、もう一度、診察室に入って説明を受けると、「膝の関節が狭くなっていて、軟骨がすり減っていますね」などとよく説明を受けるかと思います。
「膝の軟骨がすり減っていてるから痛いんですよ」などと説明を受けることも少なくないかもしれません。
では、実際に変形性膝関節症の方の軟骨はすり減ってしまうのでしょうか?
結論から申し上げます。
“軟骨”は“擦り減りません”!
診察では、患者さんが分かりやすいようにお医者さんが便宜上、擦り減ると説明をしているだけなのです。
少し難しい話になりますが、物と物との間には摩擦というものが生じるのは皆さんもご存知かと思いますが、摩擦力は摩擦係数というものに強く影響を受けます。
軟骨の摩擦係数は、0.005と言われていて、アイススケートのリンクや潤滑剤を撒いた床の摩擦係数は0.1と言われています。
つまり、軟骨の滑りやすさはアイススケートの500倍滑りやすいということです。
想像していただけるとわかりやすいと思いますが、仮に軟骨が擦り減ってしまったら、数年先には軟骨は無くなってしまいます。
もちろん、そんなことは急には起こらず、積み重ねて軟骨が消失していくことになります。 では、軟骨がなくなる原理についてですが、実際には、軟骨に含まれるコラーゲンやその他の組織が変性してしまい、骨を血管内に吸収するものと、骨をつくるもののバランスが崩れ、骨が吸収される量が多くなることで軟骨が“溶ける”または“破壊される”と言われています。
このように、変形性膝関節症の膝にどのようなことが起こっているのかは徐々に解明されてきています。また、朗報として、膝の変形と膝痛の間には関係がない、つまり、“変形が強い=痛みが強い”という関係ではないということが言われています。 変形性膝関節症の症状は保存療法、つまりリハビリテーションで痛みの改善が図れるケースが多いと言われていて、リハビリテーションの一つである運動療法はその有効性が立証されています。
膝の痛みで悩まれている方は是非、当院を受診していただき、リハビリテーションの効果を実感していただければと思います。